経済・企業

ノーベル経済学賞の2氏 持続可能な成長への取り組み評価 反トランプの米経済学者の良心=下桐実雅子

「自分の研究費を削って、君の生活費を出す算段をしたから、私の近くにいたらどうか」

 今年のノーベル経済学賞に輝いた米ニューヨーク大学のポール・ローマー教授(62)から、こんな提案を受けた日本の経済学者がいる。早稲田大学の佐々木宏夫教授だ。

 佐々木氏は1982年から87年にかけて、米ロチェスター大学大学院でローマー氏から指導を受けて博士号の取得を目指したが、博士論文を仕上げる最後の5年目に資金に行き詰まった。父を早く亡くし、経済的な問題から米国で研究を続けられなくなったのである。一度、帰国して博士論文を仕上げて、面接を受けに戻ろうと考え、ローマー氏に伝えると、自分の研究費で米国に残って博士号を取るよう思いもよらない提案を受けた。

 驚いた佐々木氏が「迷惑をかけたくない」と戸惑うと、ローマー氏はこう語りかけたという。

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週刊エコノミスト

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