成長戦略としての医療・ヘルスケア 健康増進と財政抑制は両立可能=翁百合 本誌版「社会保障制度審」第19回
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医療や介護は、国民の安心につながる社会保障制度の主要な柱である。同時に、今後の日本の経済成長にとってもきわめて大きな影響を持つ分野でもある。今後の高齢化による需要増に応じて医療福祉分野の就業者数が増加すると仮定すると、その割合は2018年度の12・5%から40年度には2割弱にも達し(厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」)、卸小売業、製造業を上回ることが予想される。そしてこれらを中核として広がるヘルスケアの分野も、国民の「健康寿命延伸」への願いを背景に需要拡大が期待され、さまざまな業種の企業が参入を検討している、有望な市場である。
特に、医療関連、ヘルスケアを手掛けるさまざまな企業の活動拡大は、日本の経済成長に不可欠である。これらの企業自体の発展が設備投資や雇用を生み出すことに加え、国民の健康を支え多くの国民が抱えている将来不安を縮小させて、その消費意欲を改善することが期待されるからである。16年の世論調査(読売新聞)では、社会保障制度の将来に不安を感じている人が「大いに」と「ある程度」を合わせて93%にも達している。また…
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週刊エコノミスト
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