効果大きい医療へのデータ利活用 広島県呉市や北欧、米国などで成果=翁百合 本誌版「社会保障制度審」第20回
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健康寿命の延伸や医療の発展のために期待されているのは、診療などに関するデータの利活用基盤の構築と、これによって可能となるデータ分析、AI(人工知能)などを用いたイノベーション(技術革新)だ。これらが国民にどのような効果をもたらす可能性があるのか、先進具体例を見ていきたい。
患者のレセプト(診療報酬請求明細書)情報、健康診断(健診)情報などを分析して、企業の健康保険組合(健保)や国民健康保険(国保)などの保険者が、加入者の健康管理を働きかける動きが広がりをみている。例えば、広島県呉市の国保は早くから、データホライゾン社(広島市)にレセプト分析を依頼し、活用したことが有名である。
具体的には、糖尿病性腎症が重症化して人工透析が必要にならないよう予防するための受診勧奨や特定健診(メタボ健診)の受診率引き上げ、同じ薬の処方が同一月に複数ある重複服薬対象者への指導、ジェネリック(後発医薬品)の使用促進といった取り組みにより、健康増進と医療費の適正化に成果を上げた。
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週刊エコノミスト
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