法務・税務2040年の社会保障を考える

効果大きい医療へのデータ利活用 広島県呉市や北欧、米国などで成果=翁百合 本誌版「社会保障制度審」第20回 

 健康寿命の延伸や医療の発展のために期待されているのは、診療などに関するデータの利活用基盤の構築と、これによって可能となるデータ分析、AI(人工知能)などを用いたイノベーション(技術革新)だ。これらが国民にどのような効果をもたらす可能性があるのか、先進具体例を見ていきたい。

 患者のレセプト(診療報酬請求明細書)情報、健康診断(健診)情報などを分析して、企業の健康保険組合(健保)や国民健康保険(国保)などの保険者が、加入者の健康管理を働きかける動きが広がりをみている。例えば、広島県呉市の国保は早くから、データホライゾン社(広島市)にレセプト分析を依頼し、活用したことが有名である。

 具体的には、糖尿病性腎症が重症化して人工透析が必要にならないよう予防するための受診勧奨や特定健診(メタボ健診)の受診率引き上げ、同じ薬の処方が同一月に複数ある重複服薬対象者への指導、ジェネリック(後発医薬品)の使用促進といった取り組みにより、健康増進と医療費の適正化に成果を上げた。

残り2307文字(全文2741文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月3日号

金利ある世界18 長期金利の居場所の探り合い 10年国債が主役に復活する日■稲留克俊21 絶えざる資産インフレとデフレ■水野和夫22 ドル・円 米金利上昇で景気失速、金利低下 1ドル=130円の円高を目指す■吉田恒24 日本株 企業に生じた「インフレ利得」 「マイナス金利」が追い風に■黒瀬浩一27 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事