経済・企業学者が斬る・視点争点

知識と生産的活動の結びつき=澤邉紀生 学者が斬る

中小企業を土台とした日本経済の知識活用能力の存続が危ぶまれている

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 このような観点から、各国経済が知識を生産的活動に利用する能力をどれだけ持っているかを評価する指標として、ハーバード大学の国際開発センターなどの研究者が中心となって開発されたのが経済複雑性指標である。経済複雑性指標は、当該地域で生産されている財・サービスの多様性と遍在性によって計算される。多様性とはどれだけ多くの財・サービスが生産されているかということであり、遍在性とは生産されている財・サービスがどれだけ他国でも生産されているかということである。経済複雑性は多様性が高いほど高く、遍在性が高いほど低くなる。

 日本は、この経済複雑性指標で測った国際ランキングでトップを維持している。日本に続いて上位にはドイツやスイスなどが名を連ねている。これら上位国は、知識と人の豊かなつながりを背景として、他国では生産されていない多種多様な財・サービスを生み出す能力を持っている。経済複雑性指標の開発者たちによれば、この指標によって現状だけでなく、将来の豊かさを予想することができる。

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