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2018ノーベル経済学賞/下 ノードハウス「温暖化の経済分析」…=有村俊秀

ノードハウス「温暖化の経済分析」 CO2による損失をモデルに明示

 今年のノーベル経済学賞は、地球温暖化問題の経済分析で知られるエール大学のノードハウス氏が受賞した。温暖化問題に取り組んだ経済学者の初の受賞である。これは、環境経済学が、経済学の主要な一分野になったということを経済学のコミュニティーが承認したことを意味するだろう。また、私の世代の環境経済学者にとっては感慨深いものがある。私が1990年代前半、大学院時代に勉強した最初の教科書の一つがノードハウス氏の『エネルギー経済学(原題The Efficient Use of Energy Resources)』だったからだ。

 ノードハウス氏の受賞の理由はどのようなものであろうか。第一は、彼が本流の新古典派経済学者の中で、初めて地球温暖化問題をマクロ経済モデルで分析したことによるものだろう。上述の『エネルギー経済学』は79年に出版され、日本語に翻訳されたのは82年である。同著は、化石燃料の市場を経済モデルで分析するための枠組みを示した最初の経済研究であり、しかも、この時点で、地球温暖化問題を扱っている。気候変動問題分析…

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