AIIB参加ためらう理由はない 論拠乏しい三つの「慎重論」=塚田俊三
有料記事
米中貿易摩擦、南シナ海での中国やフィリピンなどとの緊迫、ロシアのアフガン和平調停への関与など、アジアをめぐる地政学的情勢は日々複雑さを増している。日本はどこに自らの立ち位置を見つけるかについて、常に微妙な選択を迫られている。
そうした中で、安倍晋三首相は10月26日の日中首脳会談で、中国の習近平政権が提唱する経済圏構想「一帯一路」について、インフラ整備に当たっては国際標準を順守する重要性に言及しつつも、第三国で協力する意向を表明した。一帯一路に対し日増しに高まる国際的な非難を十分に意識しつつも、日中関係改善の重要性を認識して取った微妙な決断といえよう。
だが、中国側にこのような歩み寄りを見せながら、中国が主導する国際開発金融機関「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への加入には、慎重な態度を崩していないことは疑問だ。
残り3232文字(全文3596文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める