法務・税務

西川・日産社長会見(2018年11月19日)全文

    日産のカルロス・ゴーン会長の逮捕を受け開いた記者会見を終えて席をたつ西川広人社長=横浜市西区で2018年11月19日夜
    日産のカルロス・ゴーン会長の逮捕を受け開いた記者会見を終えて席をたつ西川広人社長=横浜市西区で2018年11月19日夜

     日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)が東京地検特捜部に金融商品取引法違反容疑で逮捕されたことを受け、11月19日夜に西川(さいかわ)広人社長兼最高経営責任者(CEO)が横浜市の日産自動車本社で開いた記者会見は次の通り。

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     皆さん、きょうは大変遅い時間の会見で申し訳ありません。

     本日夕刻、お伝えしたとおり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーンについて、社内調査の結果、本人の主導による重大な不正行為が大きく3点あった。

    (1)開示された自らの報酬を少なくするため、実際の報酬よりも減額した金額を有価証券報告書に記載したという不正行為

    (2)目的を偽って、私的な目的で、当社の投資資金を支出した不正行為

    (3)私的な目的で、当社の経費を支出するなどした不正行為

     こういう事実を確認いたしました。内容については細かく触れることは今日はできませんが、もちろん会社として断じて容認できる内容ではないことは確認していますし、専門家からもこれで十分、解任に足るというか重大な不正行為であるというご判断もいただいています。

     ということで、解任を提案することを決断したということでございます。正式には、明後日でいいのかな、木曜日に、代表権そして会長職を解くことを提案して承認すべく、私が取締役会を招集をする予定でございます。また同時に、本事案の首謀とも判断されます代表取締役のグレッグ・ケリーの代表権も解く予定でございます。

     本件、すでに公表されていると思いますけども、検察当局による捜査も進んでおりまして、当該の2人は今夜すでに逮捕されているというふうに私は理解しております。従いまして事案の内容・詳細につきましては、捜査との関係で私からお話できることには限界があるということをぜひご容赦いただければと思います。

     その上で概略の経緯を申しますと、内部の通報に端を発して、監査役からの問題提起を経て社内調査を行った結果、先ほど申し上げた通りの点について、両名の指導による複数の重大不正の事実確認に至ったということでございます。

     本件の内容からして、並行して事案の内容を当社から検察へもご報告をして、そして当社として検察当局へ全面的にご協力をさせていただきながら進めてまいりました。また今後もそのように進めてまいりたいというふうに思っております。私からは捜査の進展そのものには触れられませんけれども、これらの事案の捜査の進展の結果として、今日の両名の逮捕に至ったというふうに私は理解しています。

     これが事実でございますけれども、株主の皆さま、それから関係者の皆さまへ多大なご心配をお掛けする次第となってしまったこと、これは会社を代表して深くおわびを申し上げたいと思っております。会社としての立場で見れば、会社としてやるべきことは、発見された重大な不正の除去とその対応、それから当局への全面協力と、確認されたガバナンスの問題点の認識と反省、あるいはこれは、まだ尚早ではございますけれども、反省というより猛省すべきであろうというふうに私は考えております。

     抜本的かつ速やかな対応を、ということであるわけですけれども、それ以上に私としてはこれまで長年、いろんな皆さまからカルロス・ゴーンの率いる日産ということでサポートをいただいてきた関係者の皆さま、いろんな関係者の皆さまがおられると思います。そして株主の皆さま、お取引先の皆さま、こういう皆さまの信頼を大きく裏切ることになってしまったということ、これが私としても大変残念であり、申し訳ないという気持ちでいっぱいでございます。

     うーん、それから、もちろん日本のみならず世界各国の従業員、そして当社の販売ネットワーク、販売会社の皆さまにも大きな動揺が広がっていると思います。不安を巻き起こしてしまったわけでございまして、誠に申し訳ないと思っています。

     えー、私自身、日産のリバイバル以降、全身全霊を入れて日産のリカバリー、前進に力を注いできたつもりでございます。その時その時で経営会議メンバーとしては力を合わせて全力でやってきたというつもりでおりましたし、今でもおります。そういう中でこういうことが確認され、結果的にこういう重大事案になったということについて、何と表現していいか非常に難しいんですけれども、「残念」という言葉ではなく、(それを)はるかに越えて強い、「憤り」ということ、そしてやはり私としては、うーん、「落胆」ということを強く覚えております。

     先ほど申し上げた通り、社内においても、当社役員、従業員と共有できる情報には現在限度があります。皆さんにお伝えしていること以上には当然伝えられないわけですけれども、従いまして今、従業員の中ではいったい何が起きているんだろうか、と。いったい何が起きているんだという状態だというふうに思っております。いずれにしろ、詳細がいずれ明らかになるにつれ今、私が感じているようなものが従業員の中にも広がっていくんではないかというふうに思っています。

     いろんな言葉もありますけれども、ちょっと個人的な受け止めは今日はここまでにさせていただきたいと思っております。まず社内の動揺をできる限り安定させ、日常業務の面でお取引先との業務運営に影響を極力出さないように集中をしてまいりたいと思っております。それから本事案、昨年来コンプライアンスの社内の徹底、そして内部通報を含む問題提起の推進ということを進めていくさなかで出てきた重大事という面もございます。もちろん大変とんでもなく大きい問題で重大事案でございますが、私の基本姿勢は変わっておりませんで、私の在任期間中は将来に向けて徹底的に問題点の洗い出しをしていくと、そして対策を進めていくことを進めてまいりたいと思っております。

     今後の進め方について少しお話しできるところを申し上げますと、今年度からルノーに任命された取締役に加えて、純粋な独立取締役の方2名に当社の社外取締役をお願いしております。今度開きます緊急の取締役会において以降ご相談をしてまいりたいと思っておりますが、第一歩として取締役会として、独立取締役の方を中心に第三者の専門家も入れた委員会を早急に立ち上げて、今回の事案の背景・要因などを掘り下げていただいて、ガバナンスの問題提起、根本的な見直しということにつなげていきたいと、まずそういうアクションを取りたいというふうに思っております。

     当社に限ってみれば、業務運営面・執行体制面では大きな影響はないと思っておりまして、今現在、執行体制の部分でご案内する変化はございませんけれども、今後さまざまな観点からの変更が必要と思われた場合には速やかに断行・実行をしてまいる所存であります。また、ルノー、そして三菱のアライアンスパートナーの皆さんとの仕事の仕方につきましては、変更なり調整が必要な場合はそのつど、3社で相談の上、迅速に実行して参りたいと思っております。

     今回の事案は、ルノー会長兼CEOでもある、また三菱自動車の会長でもあるカルロス・ゴーンの逮捕・収監ということになりました。特にルノーへの影響は大きいと思いますが、あくまでこれは重大な不正の除去ということが本質でありまして、ルノー・日産あるいは三菱とのパートナーシップに何ら影響を与える性格の事案ではないと思っております。むしろ、緊密に連携をして混乱を収拾して、各社の事業運営またアライアンスの活動に影響が出ないように努力をすると、この姿勢が大事だと思っております。

     そして、まだ少し早いですけれども、将来に向けては、極端に特定の個人に依存した形から抜け出して、よりサステイナブルというか維持可能な形を目指す、という意味では、パートナーの皆さんと相談をしていかなければいけませんけれども、よい見直しの機会になるのではないかという認識を持っておりまして、その方向でルノーの取締役会の皆さん、あるいは三菱の益子CEOとのコミュニケーションもすでに始めております。

     ガバナンスという観点においては、やはり課題が多いと持っております。特に、大きな構造として、43%の株を持っているルノーのトップが日産のトップを兼任するということは、あまりにもガバナンス上、1人に権限が集中しすぎることは問題だと。これだけが原因ではないが、一つの誘因だと思いますので、先ほどの委員会でもそこも掘り下げていただければというふうに考えております。

     最後に一点だけですね、こういう場で私が皆さんに申し上げるべきことかどうか私もよく分かりませんが、本事案で判明したゴーン主導の不正、長年にわたるゴーン統治の負の側面と言わざるをえません。これは、やはり事実として認めなければいけないことだと思っております。一方で、この19年間で日産で積み上げてきたこと、この中には将来に向けた素晴らしい財産がたくさんあると。もちろん、CEOとしての個人の貢献はありましたが、これは個人に帰するものというよりも、その期間に多くの従業員が努力をして積み上げてきたことであること。あるいは、その前の経営危機に至るまでの90年代の苦労の時代、これは従業員の皆さん、ご家族、お取引先を含めた皆さん大変苦労をしました。その苦労と努力の貢献の結果、2000年を越えた後のリカバリーがあったというふうに思っておりますので、その努力の結果あるいはその結晶を今事案で無にはしたくない、できない。守るべきものは守って育てていきたいと思っております。ここはぜひ、皆さんにもご理解をいただきたいたいなあという気持ちでございます。

     そのうえで、今日は事業運営について詳細を申し上げる場ではない、というふうに思っておりますけれども、将来に向けて受け継いでさらに育てていくべき点、財産と、そしてゴーン統治の負の資産として清算あるいは修正すべき点は、1人の個人に権限、力が集中しすぎた点、ゆがみ等々、これはいわゆる企業統治・ガバナンス(の問題として)取締役で議論していただくことにとどまらず、やはり事業運営についても、そういう部分についてより明らかにして、必要な部分に関しては時間を置かずに明確な手を打っていきたいと、このように考えております。

     私からの方からはここまでとしたいと思います。なかなか事案について詳細をお伝えできずに大変申し訳なく思っておりますけれども、ここは捜査との関係で私自身が申し上げられることに限度があるということでご勘弁いただければと思います。私の方からは以上です。

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