論壇・論調 英EU離脱で国境問題大詰め メイ首相の新提案に反発強く=増谷栄一
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英国のEU(欧州連合)離脱協議は、懸案だった北アイルランド国境問題の解決方法で、ようやくEUとの間で合意に達し、メイ首相は11月14日、緊急閣議を招集した。そこで、17対11の賛成多数で最終合意案(離脱協定案)を政府決定した。
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しかし、すでにメイ政権を支える北アイルランドの民主統一党(DUP)をはじめ、最大野党の労働党、野党第2党の自由民主党、さらにブレグジット欧州調査グループ(ERG)など与党・保守党内のEU懐疑派は、メイ首相との全面対決の姿勢を示している。EU加盟27カ国が最終合意案を承認したとしても、12月の英国議会で最終合意案が否決されるか、下院議長が「意味のある投票(EUとの最終合意に対する議会の拒否権行使)」に基づいて政府に最終合意案の修正を義務付ける可能性がある。その場合、メイ首相はEUと再協議に入り、移行期間終了の2020年12月までに最終的な案をまとめることになる。
閣議決定後、政府が発表した最終合意案の骨子は、(1)移行期間終了後、北アイルランド(英国)とアイルランド共和国(EU)のハードボーダー(厳格な国境管理)を回避するため適用される「バックストップ条項」(EUルールの継続)は英国全体に適用する、(2)英国は同条項の適用を一方的に打ち切ることができない。打ち切りの判断は英国とEU、第三者からなる独立した仲裁機関に委ねる、(3)移行期間終了の半年前の20…
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週刊エコノミスト
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