『公文書問題と日本の病理』 評者・上川孝夫
有料記事
著者 松岡資明(学習院大学客員教授) 平凡社新書 800円
民主主義の成熟度示す「記録」保存への姿勢
公文書というと、一般の人々には縁遠い印象を与えるかもしれない。しかし最近日本では、森友学園や加計学園、自衛隊の日報問題など公文書を巡る問題が噴出し、議論の的となった。日本には情報公開や公文書管理に関する法律があるのだが、一体どうなっているのだろうか。本書はこの問題に精力的に取り組んできた著者による最近作である。
2011年に施行された公文書管理法(正式名称は「公文書等の管理に関する法律」)では、行政文書には保存期間が設けられ、管理簿に登録する必要があるのは保存期間1年以上の文書である。保存期間が満了すると、歴史的価値を有する文書を国立公文書館などに移管して半永久的に保存し、公開する。これが公文書管理のサイクルである。そのため、不開示の決定や文書の廃棄を行って指摘された場合、「1年未満の文書だった」「個人…
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週刊エコノミスト
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