日中歴史共同研究の成果 誠実に反映した信頼の書=井上寿一
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日本人の平均的な感覚として、日本は先の大戦でアメリカに敗けたのであって、中国に敗けた実感がないのではないか。そうだからこそ日中間には依然として日中戦争をめぐる認識のギャップが存在する。認識のギャップは日本国内でも埋められないままになっている。日中戦争をめぐる国際的・国内的な認識のギャップはどうすれば埋めることができるのだろうか。
重要な手がかりとなるのが北岡伸一・歩平編『「日中歴史共同研究」報告書 第2巻 近現代史篇』(勉誠出版、4500円)である。2005年の日中外相会談において、日本側は日中歴史共同研究を提案した。この提案に基づいて、翌年から09年まで日中間で初めての本格的な歴史の共同研究が行われた。本書はこの報告書である。
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