歴史書の棚 儒教の本質に迫る「塾」としての快著=加藤徹
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古代中国では、屋敷の門の両脇にある小屋や部屋を「塾」と呼んだ。来客はまず「塾」で待機し「殿堂」にいる主人に謁見する心の準備をする。「塾」は「入門」の象徴的な場だった。使用人や子弟が礼儀作法を学び習熟したり、元服の儀礼の場としても使われた。後世は意味が転じ、民間の先生が年少者に教える小規模な学舎を指すようになった。
筆者も子供のころ、書道塾や学習塾などに通った。塾の先生には変人が多かった。学校の先生なら口にしないきわどい冗談や本音の雑談も聞けた。加地伸行『大人のための儒教塾』(中公新書ラクレ、840円)を読み、塾の記憶がよみがえった。
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週刊エコノミスト
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