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教養・歴史 歴史書の棚

言語、遺品等痕跡を精査 文明史の起源に迫る=本村凌二

『馬・車輪・言語』(筑摩書房、上巻2900円、下巻3000円)
『馬・車輪・言語』(筑摩書房、上巻2900円、下巻3000円)

 歴史の闇に消された人々がいる。一つは為政者にとって都合の悪い集団であり、もう一つは民衆が記憶しておきたくない集団である。ナチス政権下で祭りあげられたアーリア人は後者の典型であろう。

 もろもろの偏見を退け、考古学と言語学の諸成果を整理しながら、デイヴィッド・W・アンソニー『馬・車輪・言語』(筑摩書房、上巻2900円、下巻3000円)は、印欧祖語とアーリア人をめぐって人類文明史の起源に迫る。

 古インド語最古の文献は『リグ・ヴェーダ』であり、イラン語最古の文献は『アヴェスター』である。いずれも紀元前2千年紀の後半に口承で広まり、その後文字で記された。これら以前からインド・イラン共通語があり、そこでは自己認識が人種的ではなく、言語学的および儀礼的であったという。讃歌と詩を用いて正しい方法で正しい神に供犠(くぎ)をすれば、その人はアーリア人なのである。

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