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歴史書の棚 渡来氏族と神社草創 新たな視点で見る日本史=今谷明

『寺社が語る秦氏の正体』 著者:今谷 明
『寺社が語る秦氏の正体』 著者:今谷 明

渡来人(帰化人)と神社草創の関係は、古代史に限らず興味深い問題である。評者のように京都で生まれ育った者には、秦氏(はたうじ)と松尾神社、賀茂氏(かもうじ)と賀茂神社など子供時代からなじみ深いものだった。下鴨神社など小学生の頃から境内の森で暴れ回っていたが、国宝社殿である賀茂社すら“金欠神社”の例にもれず、境内に高級マンションを経営してしのいでいるというから驚かされる。

 関裕二著『寺社が語る 秦氏の正体』(祥伝社新書、860円)は、専門家の著作ではないが、秦氏を素材に、渡来人と古社の由来を多面的に取り上げていて、着想の興味深さで読ませる。第一章の「日本はお稲荷さんと八幡神社だらけという不思議」については、5年ほど前に島田裕巳氏が『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』(幻冬舎新書)で論じられたことがあり、両著を読み比べてみるのも一興だろう。余談ながら私見では、八…

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