円高との格闘 米と協調が介入成功の条件 =榊原英資
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1995(平成7)年4月、円は過去最高値の1ドル=79.75円を記録した。輸出産業の価格競争力減退や利益目減りなどの「円高不況」を恐れた日本政府は為替介入を決意する。
当時は、プラザ合意(85年)以降のドル安政策で急速に円高が進んでいた。日本円とドイツ・マルクは切り上げを迫られて、85年に1ドル=238.5円だったドル・円相場は急速に円高に推移し、90年には1ドル=144.8円、95年には1ドル=94.1円(いずれも年間平均)まで進んだ。
日本政府が為替介入を決意したちょうどこの時期、米国でもロバート・ルービン氏が金融大手ゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)から転身して、財務長官に就任した。それまでの米政府は、米通商代表部(USTR)のミッキー・カンター氏の意向もあり、輸出に優位なドル安政策を取っていた。
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週刊エコノミスト
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