日銀と独立性 大量の国債購入で財政規律緩む=山本謙三
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日銀にとってこの30年間は、政府からの「独立性」を巡って揺れ動いた時代だったと言えよう。中でも、大きな転機となったのが、中央銀行としての独立性の強化と透明性の確保を狙いとした新日本銀行法の施行(1998年4月)である。しかし今、「デフレ脱却」を掲げる政府との協調の下、日銀は国債保有を未曽有の規模へと拡大し続ける。中銀にとって禁じ手である「財政ファイナンス」(財政赤字の穴埋め)の懸念とともに、独立性は次の時代へ大きな課題を積み残した。
日銀法改正のきっかけは、80~90年代のバブルの発生と崩壊にあった。バブルの発生は複合的な要因によるが、長期にわたる金融緩和も一因だった。もともと旧法は、戦時下の42年に骨格が定められた国家統制色の強いものだった。旧法下での日銀の独立性の弱さが、緩和解除の遅れにどれほど影響したかは定かでないが、政府の中に緩和継続を求める声があったのは事実である。同時に、中銀の独立性の強化を図る世界的な潮流もあり…
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週刊エコノミスト
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