平成経済事件簿 検察の「市場対応」道半ば=村山治
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平成の幕開け リクルートで要人逮捕
年号が平成に変わって1カ月あまりの1989年2月13日、東京地検特捜部は、就職情報大手「リクルート」創業者で前会長の江副浩正を、NTTの元役員2人に対する贈賄容疑で逮捕した。
バブルで株価が瞬く間に上昇した昭和末期、江副はグループ企業のリクルートコスモスの未公開株を、政官財の要人に広くばらまいていた。未公開株の譲渡自体は違法ではないが、要人たちは公開時に株を売却して千万円単位の利益を上げていた。
朝日新聞が88年6月から調査報道で事実の一端を暴くと、未公開株を入手できない庶民から「不公平だ」「ぬれ手であわ」との批判が沸騰した。検察は世論に背中を押されて重い腰を上げ、職務権限のある政治家と官僚に絞って摘発に踏み切った。
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週刊エコノミスト
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