視界不良地帯3 ロシアとウクライナ 対立深化の背景に宗教分裂=下斗米伸夫
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対立深化の背景に宗教分裂 プーチン牽制へ米国が暗躍
2018年11月、クリミア半島近海のケルチ海峡でロシアの監視船が「領海侵犯」との理由でウクライナ海軍の艦船を拿捕(だほ)した。両国の国境地帯で起きたこの事件は、今、ウクライナ国内で起きている、ある問題が“飛び火”したものだ。
その問題とは、宗教上、ロシアとウクライナを「兄弟国家」としてつないできた「正教会」(東方教会、ギリシャ正教会とも呼ばれる)の分裂劇である。ウクライナとロシアは、14年に国際社会からウクライナ領と承認されていたクリミア半島をロシアが併合して以降、対立を深めているが、正教会の分裂により両国の亀裂は決定的になる懸念が出てきた。
そもそも、正教会とは、キリスト教会が1054年に東西分裂したとき、現在のカトリック教会(西方教会)と袂(たもと)を分かって生まれた教派だ。正教会では国ごとに教会組織が置かれ、ロシアでは第二次大戦期にスターリンによってロシア正教会が事実上「国教」化された。
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週刊エコノミスト
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