教養・歴史Book Review

『地方創生のための構造改革 独自の優位性を生かす戦略を』 評者・小峰隆夫

     多くの人々が望んでいるにもかかわらず地方創生は進んでいない。なぜだろうか。評者は、漠然と「地域問題に経済学的な発想を十分適用してこなかったからだ」と考えてきた。本書を一読して、そんな私の考え方が裏付けられ、大変心強い。

     編者の八田達夫氏は、本書の目的を「成長戦略としての地方創生のための具体的政策を提示すること」とし、「地方が優位性を持つ分野で、そのポテンシャルを最大限に生かせる環境整備をすることである。そのためには、成長を妨げている規制や地方行政の仕組みを改めていく必要がある」としている。評者が特に啓発されたのは次のような点である。

     第一は、農業、漁業の再生への提案である。農業については、先端的経営農家は、生産から流通、消費までを一連の流れとして機能させる「フードチェーン」システムの構築に重点を置くようになってきた。ところが依然として多くの場合、コメなど主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(食糧法)などによって生産者と消費者が分断されたままだと指摘されている。

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