『日銀バブルが日本を蝕む』 評者・浜矩子
著者 藤田知也(朝日新聞記者) 文春新書 850円
ゆがんだ「バブル」製造 中央銀行の非を追及
本書の中に実に面白い見出しが登場する。「『将来への不安感』から生まれた新型バブル」というものだ。この見出しの登場に先立って、「眼前に現れるのは、かつてのバブルのような金満な光景ではない」という文章が「はじめに」の中に現れる。
ギンギンギラギラしないバブル。熱狂を伴わないバブル。実に奇異な経済風景だ。だが、今の日本において、それが我々の眼前にあることは間違いない。年収400万円台のサラリーマンが4億円の借金を元手に不動産投資にのめり込んでいく。正気の沙汰ではない。だが、その狂気は全くバブリーではない。つましくて、および腰で、暗い。まさしく不安に満ちている。
残り802文字(全文1129文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める