長期停滞論に導入すべき生産性分析とは=平田英明
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世界中で観察される生産性の長期的低下傾向の決定要因に関心が集まっている。米国に関するハーバード大学のサマーズ教授による長期停滞論は、技術革新、人口減、資本財価格の低下などを通じた低い投資意欲が製造業を中心に続き、結果として技術進歩が必要資本量を減少させ、投資需要を抑えるという需要面の問題を強調する。更に、経済格差と長寿化が民間貯蓄率を高めており、金融緩和効果が従来よりも下がってきている。
つまり、超低金利下においては、マクロ経済理論が仮定する設備投資が利子の関数という想定が揺らいできており、マクロ的な貯蓄と投資のバランス調整が金利を通じて行われにくくなってきていることを意味する。結果的に、慢性的な総需要不足が発生し、長期停滞を引き起こす。
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週刊エコノミスト
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