週刊エコノミスト Online編集後記

米江貴史/桐山友一 編集部から

編集部から

 帰宅途中、新宿のドラッグストアに立ち寄ることがある。夜11時近くにもかかわらず、店内は化粧品などを買い物かごいっぱいに詰め込んだ中国系観光客でごった返す。店員もほとんどが中国系で、中国語が飛び交う。こんな光景が日常的だから、中国で消費に陰りが出ていると聞いても信じがたい。

 だが実態はかなり深刻らしい。本誌1月1・8日号「世界経済総予測」ではモノが売れにくくなっている実態とともに「シャッター通り」の出現を紹介した。米中貿易摩擦の影響も出始めているという。21世紀に入ってからの中国の急速な発展と、現在ささやかれている消費の陰りは、昭和末期から平成にかけての日本の歩みを圧縮しているように見える。

 中国の景気が日本を左右する現在。買い物を楽しむ外国人観光客が繁華街から消えたら──ビルの谷間で吹いた風の冷たさが身にしみた。

(米江貴史)

 大学を卒業して最初に勤めたのは都市銀行だった。1998年4月の入行。その前年には北海道拓殖銀行や山一証券が破綻し、文字通りの金融危機の嵐が吹き荒れていた。「氷河期」と呼ばれた中で何とか就職を決め、不安よりも仕事を覚えるのに精いっぱいだった。

 大阪市の支店での勤務。新人は午前7時半に店に入るため、毎朝5時起きだった。ATM(現金自動受払機)の現金補充や障害対応、窓口での金融商品のセールスに明け暮れ、夜は通信教育の資格試験の勉強に充てる。午後3時の閉店後、机でうとうとしていて怒られた。

 新聞社に入りたいと銀行を辞めた後、融資担当になった同期から「土下座して貸出金を回収した」という話が聞こえてきた。後からそれが「貸しはがし」だと知り、私のいた銀行はほどなく他行と合併した。平成の時代が終わる。私にとっての強烈な「平成」の記憶だ。

(桐山友一)

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