『評伝 小室直樹 上巻 学問と酒と猫を愛した過激な天才 下巻 現実はやがて私に追いつくであろう』 評者・田代秀敏
有料記事
著者 村上篤直(弁護士) ミネルヴァ書房 上下巻 各2400円
「過激な天才」の生涯を描ききる渾身の評伝
上下2巻、本文1364ページの大作だが、最後まで一気に読まされてしまう。希代の「過激な天才」であった小室直樹(1932~2010年)の疾風怒濤(どとう)の生涯を、周到な取材に基づき、細部に至るまで徹底的にリアルに描いているからである。
『ソビエト帝国の崩壊』(80年)を契機に華々しい言論活動を行う以前の「知る人ぞ知る天才」であった頃から、小室直樹は私塾を開催し、「社会科学の復興」を担う人材を無償で育成した。それが今や伝説の「小室ゼミナール」(72~85年)である。
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週刊エコノミスト
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