貧困層の締め出しにも キャッシュレス巡る議論=井上祐介
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キャッシュレスは米国でも急速に進んでいる。その決済の中心はクレジットカードで、 少額の支払いでもちゅうちょなく使用する。飲食店を中心に現金での支払いを受け付けない店舗も徐々に増えている。特に、混雑する昼食時間帯には、正確で、速く、食べ物を入手できるこうした店に足が向かいやすい。事業者側にとっても人件費の削減をはじめ、不正や盗難が発生するリスクの軽減、顧客データの収集・分析、収支計算の簡素化、衛生面の改善などメリットが多い。脱税がしにくい点では行政からも歓迎されるとみられ、現金使用の減少は各方面にとってプラスに働くように思える。
2018年12月に発表のピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国人の29%は日常の購買で現金を全く使用しないと回答し、この割合は3年前に比べて5ポイント増加している。しかし、キャッシュレスの進展は必ずしも平等に広がっているわけではない。例えば、年間所得が7万5000ドル(約825万円) 以上の世帯では約4割が現金を使用しないのに対し、3万ドル(約330万円)未満の世帯では2割以下にとどまっ…
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週刊エコノミスト
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