ドイツ就業者数が統一後最多 20年以降の労働力不足を懸念=熊谷徹
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ドイツでは2018年の年間平均就業者数が4480万人となり、1990年の東西統一以来最高の水準に達した。好景気の今後について活発な議論が行われている。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』のD・クロイツブルク記者は1月3日付紙面で「去年の就業者数は一昨年に比べて約56万人増えた。15年間連続で就業者数が増えたことになる。ドイツの経済界では米中貿易摩擦やブレグジット(英国のEU離脱)のために景気の先行きに悲観的な見方がされているものの、経済学者の間では、企業が多数の従業員を解雇するような事態にはならないという見方が強い」と指摘。クロイツブルク氏は、連邦政府の経済諮問委員会のC・シュミット委員長の「就業者数と賃金は今後も上昇し、失業率は下がる。ただしすでに顕在化している労働力不足が、景気の伸びを抑制する可能性はある」という予測を引用している。
シュミット氏はこの記事の中で「国外での不安定要因にもかかわらず、ドイツの景気は好調だ。その原因は労働市場と社会保障制度の改革によって、新たな雇用と収入源が生まれつつあることだ」と述べ、現在の好景気が03年に当時のシュレーダー首相が実行した改革プログラム「アゲンダ2010」の成果だという見方を強調した。
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週刊エコノミスト
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