教養・歴史コレキヨ

小説 高橋是清 第28話=板谷敏彦

挿絵・菊池倫之
挿絵・菊池倫之

(前号まで)

 長野の牧畜業で失敗、銀相場と米相場の投機でも失敗した是清。この間、西南の役が終結し、日本社会は武士階級が支配する「腕力の時代」から「弁舌の時代」に変貌を遂げた。

第28話 共存同衆

 酒豪で知られる是清も、70歳を超えるぐらいから酒を一滴も飲まなくなった。どうやら酒をおいしいと感じなくなってしまったらしい。

 しかしその一方で、是清は2・26事件において81歳で殺害される直前まで飽きることなく勉強を続けていた。事件の頃は、ちょうどイギリスのシドニー・ウェッブ夫妻の『コミュニズム』を原書で読んでいたし、暇さえあればロンドンのタイムズやニューヨーク・タイムズを三省堂の英語辞書コンサイスを片手に読んでいた。

残り2613文字(全文2921文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事