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教養・歴史 Book Review

『AIと日本の雇用』 評者・後藤康雄

編著者 岩本晃一(経済産業研究所研究グループ上席研究員) 日本経済新聞出版社 1800円

過度な心配も楽観も不要 AIから見た未来社会論

 囲碁や将棋の世界に象徴されるように、人工知能(AI)はすでに未来のツールではなくなりつつある。しかしその実、我々はAIのことをほとんど知らず、期待と不安が入り交じった目で見ている。そして、未来に思いを巡らせるほど不安が勝りがちとなる。意思を持つに至った機械たちと人類が対峙(たいじ)する映画「ターミネーター」のような世界観が意外に浸透しているのかもしれない。

 本書は、AIやそれと緊密な関係にある「インダストリー4.0」(ドイツ政府推進のデジタル化プロジェクト)、「IoT」(モノの広範なインターネット接続)などをかみくだいて解説し、わが国の未来への含意と提言を包括的にまとめた書である。中心的な視点は雇用への影響だ。

残り818文字(全文1195文字)

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