『50年目の「大学解体」 20年後の大学再生 高等教育政策をめぐる知の貧困を越えて』 評者・服部茂幸
有料記事
編著者 佐藤郁哉ほか4人 京都大学学術出版会 3800円
停滞する日本の大学改革 実現可能な具体案を提示
今、大学改革が病んでいる。壮大な目標とは逆に、日本の研究力が低下していることはよく指摘される。こうした大学改革の病理を明らかにし、代案を提示するのが本書である。
第1章では二重語法(ダブルスピーク)とエセ演繹(えんえき)型の政策を批判する。例えば、現在の大学にはグローバル化の時代に対応できる人間の育成が要請されている。しかし、その裏には日本経済を再生させる人材の養成という別の目的がある。だから、グローバルに活躍できる人材を育成しても、日本の企業と経済に貢献しない限り、成功にはならない。
しかも、グローバルな人材をどうやれば育成できるかも具体的にはよく分からない。だから、無理に目標を作っても、内実の伴わないものに終わる。
残り802文字(全文1167文字)
週刊エコノミスト
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