アジア経済の鈍化が日本企業を直撃=足立正道
日本経済の命運を握る海外経済に対する懸念が高まっている。実際、日本銀行の展望リポートをみても、日本経済の見通しに対するリスク要因として、海外経済が筆頭に挙げられていた。
国内経済をみると、企業収益が好調な中で人手不足が続いているため、企業や家計の支出(設備投資、個人消費)が大きく削減される経済環境にはない。しかし、その企業業績が良好な理由には外需の堅調さがあり、輸出数量・海外子会社の売り上げの落ち込みと急速な円高(つまり輸出価格・海外子会社収益の下落)が日本経済にとっての打撃になることは避けられない。
世界経済をみると、2017年には世界同時回復となったが、18年は大型減税と財政支出で加速した米国を除けば、鈍化が目立つ一年であった。ユーロ圏では自動車の排ガス規制テストによる混乱といった特殊要因が多かったほか、中国ではシャドーバンキング(影の銀行)の抑制という政策的な引き締めが効いたが、共通する減速要因には米国の通商政策を筆頭に、政策および政治的な不透明感が挙げられる。
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週刊エコノミスト
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