教養・歴史書評

実は流動的で不安定 トランプ政権の核心活写=孫崎享

     2018年、私が出版を一番待望したのは『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』(ボブ・ウッドワード著、日本経済新聞出版社、2200円)であった。著者はリチャード・ニクソン政権時代、ウォーターゲート事件をスクープし、ニクソン米大統領を退陣に追い込んだ人物。その彼が、今度はドナルド・トランプ政権を扱った。この本がトランプ米大統領を退陣に追い込む契機になるのでないかとの見方もあり、米国では出版第1週で110万部を販売するなど、いかに期待が高かったかを示している。

     プロローグは驚きの記述で始まっている。ゴールドマン・サックスの元社長兼CEOで国家経済会議委員長を務めるゲーリー・コーンが、大統領の執務机に近づき、デスクにあった米韓自由貿易協定を破棄するという内容の大統領親書を「盗んだ」事件を記している。

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