セブン&アイで大政奉還か 伊藤常務に社長昇格の声
流通大手セブン&アイ・ホールディングス(HD)の伊藤順朗取締役常務執行役員(60)=写真=が今春にも社長に昇格するとの観測が出ている。順朗氏は創業家の伊藤雅俊氏の次男。実現すれば、1992年、雅俊氏が総会屋への利益供与事件の責任を取ってイトーヨーカ堂(現セブン&アイHD)のトップを鈴木敏文氏(前セブン&アイHD会長兼最高経営責任者)に譲って以来の27年ぶりの「大政奉還」になる。
順朗氏は90年8月、セブン─イレブン・ジャパンに入社し、09年5月にセブン&アイHD取締役に就任した。16年4月に鈴木氏が提案した人事案が取締役会で否決され、同氏が電撃的に退任した後、順朗氏はグループ関係会社担当や中期経営計画の策定など経営の中枢を担ってきた。同社周辺からは「社外人脈を多くもち、温厚な人柄で人望がある」との評が聞こえてくる。
「雅俊氏にとり、順朗氏を社長に据えることで、鈴木氏が退任せざるを得なくなった3年前の“クーデター”が完成する」(同社関係者)。大正13(1924)年生まれで現在94歳の雅俊氏にとって、息子へのバトンタッチを見届ける時間が多く残されていないことも、今春の昇格説が浮上した理由と見られる。