3.11後の被災地舞台にリアルな人間模様を読む=美村里江
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東日本大震災直後、夫は医療チームを率いて災害救助で現地へ赴き、数カ月勤務した。まだ結婚前だったが、ニュースとは違った現地の話を随分たくさん聞いた。
夫が滞在した福島から岩手はどこまで復興したか。昨年夫婦で車を駆り、2週間ほどかけてあちこち見て回った。プレハブ小屋、大型トラック、土ぼこり、たくさんの土木作業員。そして沿岸部の多くの橋がいまだ建設中であることが印象に残った。
その風景が頭にあったので、この小説の舞台となっている仮設店舗の商店を、まざまざと想像できた。日上秀之著『はんぷくするもの』(河出書房新社、1300円)。
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