所有者不明土地 相続登記義務化へ法相が諮問 権利放棄容認と公的管理が鍵=米山秀隆
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増え続ける所有者不明土地への新たな対応策として、山下貴司法相は2月8日の閣議後記者会見で、相続登記の義務化や土地所有権の放棄を認める制度の創設などについて、法制審議会に諮問すると表明した。
所有者不明土地とは、登記簿などの台帳を見ても直ちに所有者が判明しないか、判明してもすぐには連絡がつかない土地である。民間の有識者で作る「所有者不明土地問題研究会」の推計によれば、2016年時点の所有者不明土地は九州の面積を上回る約410万ヘクタール。このままでは40年には北海道本島に迫る約720万ヘクタールに拡大するという。
増加の背景には、人口減少が進む中、相続時に登記されない土地が増えていることがある。土地の相続人が遠方に住んでいたり、資産価値が低いといった理由で土地を放置し、相続を重ねていくと、権利関係が複雑になり所有者をたどるのが難しくなる。特に、資産価値がない森林や農地などの場合、費用をかけてまで相続時に名義変更する人は多くはないと思われる。また、近年は相続放棄などにより、相続人同士が不要な土地を押し付け合…
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週刊エコノミスト
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