教養・歴史書評

2019年は激動の予感… 殉教者の研究書を読む=楊逸

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 燃料税の削減や最低賃金の引き上げなどを求め、フランスで昨年末から「黄色いベスト運動」と呼ばれる抗議活動が続いている。一方、経済破綻したベネズエラでは、長く貧困と飢えに耐える国民が、ニコラス・マドゥロ大統領の強権体制に反抗して町に出た……。

 2019年、何かが起きる予感。いや、何かはすでに起きているのかもしれない。どの国も行き詰まり感を抱える今日の世界に、変わる時期が来たのか。不安ながらもドキドキして見守る。

『ペルペトゥアの殉教 ローマ帝国に生きた若き女性の死とその記憶』(ジョイス・E・ソールズベリ著、白水社、5200円)を読む。ローマと聞けばすぐ目に浮かんでくるのは、バチカンやきらびやかな教会、ルネサンス時代の巨匠たちが残した数々の宗教美術などだろう。だが紀元初め、キリスト教が誕生して間もない頃、この地に多くの殉教者がいたことはご存じだろうか。

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