独露ガスパイプライン計画 EU、露依存度上昇に懸念=熊谷徹
有料記事
ロシアからドイツに直接天然ガスを送る海底パイプライン、ノルド・ストリーム2(NS2)をめぐる議論が盛んだ。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は2月9日付の紙面で「EUエネルギー担当大臣理事会は、ガス指令を改正してNS2のような第三国からのパイプラインをEU法に基づいて厳しく管理することを決めた。NS2推進派のドイツは、フランスやオランダの支援を得て、この改正案を廃案に持ち込もうとしていた。しかし採決の直前にフランスが態度を変えて改正案に賛成することがわかり、ドイツは窮地に追い込まれた」と報道。また同紙は「ドイツはNS2の管理を担当することを条件に改正案に賛成し、NS2建設計画が暗礁に乗り上げる事態は免れた。しかしこの法改正によってNS2の建設費用が高騰し、プロジェクトの収益性は悪化する。たとえばEUはガスの供給企業とパイプラインの運営企業の所有権分離を義務付けるので、ロシアの天然ガス大手ガスプロムは直接パイプラインを運営することを禁じられ、完全に独立した企業に担当させなくてはならない」と伝えた。
今年末に開通するNS2については、欧州委員会や欧州議会だけではなくドイツのメディアも批判的だ。FAZは2月8日付の社説で「ロシアはウクライナの内戦に介入し、英国では元二重スパイの暗殺を試みたほか、西欧諸国へのサイバー攻撃を繰り返している。NS2の建設を阻止するべきだ」と求めた。
残り861文字(全文1472文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める