米国の「技術移転」阻止が招く潜在成長率の低下懸念=関志雄
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中国の景気は米中貿易摩擦の影響を受けて減速しているが、それ以上に深刻なのは中長期的な成長力を示す潜在成長率の低下である。潜在成長率を引き上げる有力手段の一つは、海外からの技術移転により生産性を向上させることだ。しかし、米国は中国企業による米国のハイテク企業の買収阻止などを通じて、対中技術移転を抑えようとしている。米中摩擦の本質的な問題は、単なる対米貿易不均衡ではなく、まさに技術移転にある。
まず注目すべきは、中国の労働市場における大きな変化である。中国は実質GDP(国内総生産)成長率が2018年10~12月期に6.4%に減速したが、都市部の求人倍率は1.27倍と史上最高の水準にあり(図1)、完全雇用が維持されている。これは、リーマン・ショック直後の09年1~3月期に、成長率が足元と同じ6.4%まで落ち込んだのと同時に、求人倍率も0.85倍に急落したことと対照的である。
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週刊エコノミスト
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