週刊エコノミスト Online書評

『生活を支える社会のしくみを考える 現代日本のナショナル・ミニマム保障』 評者・上川孝夫

     この30年間、日本はバブル崩壊、長期不況、格差問題、雇用の大変動など大きな変化を経験してきた。一体、人々の生活を支える社会の仕組みや理念、実態はどうなっているのであろうか。このテーマに気鋭の財政学者らが果敢に挑戦している。

     副題にある「ナショナル・ミニマム」とは、憲法第25条に規定する生存権の保障を意味するが、本書ではより広く、全国どこでも同等の公的サービスを受けられる状況、またはそのサービスの水準と捉え、労働、社会保障、生活インフラ、環境などの面から包括的に検討している。

     まず労働では最低賃金、社会保障では生活保護という、人々の関心の高いテーマを取り上げている。近年、最低賃金は引き上げられてきたが、首都圏が優先され、地域間格差が再び拡大しており、多くの地域で底上げが必要だと主張する。生活保護費も、政府のトップダウン方式と財政事情優先のもと抑制されてきたが、そもそもナショナル・ミニマムにふさわしい最低生活とは何かが十分に検討されていないと指摘する。

    残り738文字(全文1169文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    4月7日号

    コロナで急変 世界経済入門22 400兆円の「株」待機資金 “倍返し”でバブル再燃も ■村田 晋一郎/吉脇 丈志25 何が起きるか 1 原油大暴落の先 原油安は続かない 年末70ドル反発も ■柴田 明夫26  2 株式市場大混乱 “コロナ”なしでも調整した 業績予想と期待のブレ ■居林 通28  3 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ PR

    最新の注目記事

    ザ・マーケット