週刊エコノミスト Online書評

『景気の回復が感じられないのはなぜか 長期停滞論争』 評者・服部茂幸

著者 ローレンス・サマーズ(ハーバード大学教授)/ベン・バーナンキ(ブルッキングス研究所フェロー)ポール・クルーグマン(ニューヨーク市立大学院教授)/アルヴィン・ハンセン(経済学者) 編訳者 山形浩生 世界思想社 1400円

長期停滞どう抜け出すか 経済学者の論戦を読む

 2008年のリーマン・ショックから10年がすぎた。ショックの後、米連邦準備制度理事会(FRB)などは米国経済のV字回復を予想していたが、実際に起きたのは「L字回復」(急激に落ちた後にゆるやかな回復)である。トランプ大統領の登場もその結果と言える。論争に発展したこの長期停滞に関する論文、講演などをまとめたのが本書である。

 論争の口火を切ったサマーズ元米財務長官は、停滞の結果、13年時点で10%の国内総生産(GDP)、5%の生産能力が失われたと言う。需要不足が人的・物的投資の減少を通じて生産能力を喪失させるのである。それを受けて、彼はインフラ投資の拡充を訴える。

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