昭和天皇含め指導者の「歴史的構想力」を問う=井上寿一
有料記事
戸部良一・寺本義也・野中郁次郎編著『国家経営の本質』(日本経済新聞出版社、2000円)は、世界的転換期の1980年代に、マーガレット・サッチャーや中曽根康弘らがどう知略をめぐらしたかを考察した本だが、そのスピンオフともいうべき戸部良一『昭和の指導者』(中央公論新社、1900円)が出た。
6人の昭和の指導者を取り上げる本書で、最初に読むべきは第六章の「昭和天皇」だろう。繰り返されてきた問いがある。昭和天皇は「聖断」によって、戦争を終結することができた。同様に対米開戦回避の決定も可能だったのではないか。
この問いに対する著者の答えは、昭和天皇が絶対君主ではなく、立憲君主だったことを前提としている。
残り592文字(全文893文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める