投資・運用5Gで上がる日本株

コンテンツ 仮想現実の普及加速へ ゲーム業界に底上げ期待=編集部

ソフトバンクが行ったVR観戦の実証実験=2019年3月
ソフトバンクが行ったVR観戦の実証実験=2019年3月

 5Gにより、エンターテインメントの領域で新たなサービスが生まれることが期待されている。

 具体的にはVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)の普及が見込まれる。VRは専用ゴーグルを装着し、ディスプレーに表示された360度視野の映像の中に、あたかも入り込んでいるかのような「没入感」を得るもの。専用ゲームやライブ映像の視聴、業務用では現地に行かずに住宅を内見するといった用途がある。しかし、期待ほどには普及が進んでいない。低い画質では没入感も低くなることが課題となっている。5Gによって高画質動画を低遅延で伝送できるようになれば、没入感は大きく向上する。

 ソフトバンクは5G導入を見越して、VRでのスポーツ観戦の取り組みを進めている。今年3月には福岡市のヤフオクドーム内に構築した5Gネットワークを活用し、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスの試合のVR観戦の実証実験に成功している。5G導入後は球場に行けなくても、自宅などで臨場感のあるVR観戦が可能になるという。

 VRでのスポーツ観戦は、あらゆるエンターテインメントにも展開できるため、VRはさらに普及する可能性がある。こうした流れを受けて、クリーク・アンド・リバー社やISID(電通国際情報サービス)など、VRコンテンツを製作する企業の業績向上が期待される。

 また、VRと同様に、AR(拡張現実)やMR(複合現実)の普及も期待できる。ARは現実の映像に仮想の映像を重ねて表示する技術で、スマートフォンアプリの「ポケモンGO」が代表的な活用例。MRはARをさらに進めて、現実の映像に重ねて仮想の3D映像を表示し、仮想映像を操作し、現実と仮想世界を融合する。より臨場感のあるゲームが可能になるほか、業務用では遠隔医療なども実現できるようになる。

 VRやAR、MRは総称して「XR」と呼ばれており、NTTドコモはMR端末メーカーの米マジックリープ社と資本・業務提携し、5GでのXRへの取り組みを強化している。

進行するクラウド化

 ゲーム業界は5Gで大きく底上げされる可能性がある。具体的にはクラウドゲームの普及が期待される。クラウドゲームは、従来はゲーム機で行う計算処理をクラウド上で行う。ユーザーはネットワークにつながる端末でゲームを操作するため、どこにいてもゲームを楽しめる。

 すでに一部でサービスは始まっているが、通信の遅延の問題があり、利用できるゲームが限られている。5G通信では遅延がほぼなくなるため、クラウドゲームが普及するきっかけになりうる。米グーグルは5G環境を想定したクラウドゲーム「Stadia(スターディア)」のサービスを2019年中に欧米で開始する予定だ。

 ファミ通グループ代表の浜村弘一氏は「クラウドゲームが普及すれば、どこに行ってもゲームが遊べる環境ができるため、ゲームをプレーする人の数とゲームを消費する時間が圧倒的に増える」と指摘。ゲーム人口の増加は、ゲーム業界そのものの底上げにもつながるため、ゲームコンテンツを提供するバンダイナムコホールディングス(HD)やカプコン、スクウェア・エニックス・HDなどにはプラスの効果が期待される。

(編集部)

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