江戸時代にもあった少子化問題=市岡繁男
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『日本史再発見』(板倉聖宣著、朝日選書)は、今日の人口問題を考えるうえで示唆に富む。江戸時代、相馬藩(現在の相馬市周辺)の人口や年貢収納量は1720年ごろがピークで、その後の60年で人口や年貢収納量は4割以上も減少した(図1)。これは徳川吉宗が出した「新規製造物禁止令」によって、その後の経済が停滞したからだという。
新田開発事業という公共工事を削減された結果、農民の収入は減少、生活は困窮する。それなのに藩は、過去と同じ基準で年貢を取り立てたので、農民は子供を育てられない。このためさらに収穫が減る悪循環に陥った。そこに天明の大飢饉が起きて人口も年貢も大打撃を受ける。ここで初めて相馬藩は「百姓こそが藩の財産」と気づき、子供が7歳になるまで米を支給、藩政も抜本的に改革して倹約に努めた。だが一度大きく減少した人口は…
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週刊エコノミスト
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