欧州議会選 EU懐疑派が伸張するも、かじ取りは親EU勢力=森井裕一
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欧州議会はEU機関の中で唯一市民の直接選挙で選出される機関であり、5年に1度選挙が実施される。今回の欧州議会選挙ではこれまでにない大きな特徴が二つ見られる。
一つは、議会内の大勢力であり、連立する形で欧州議会の中心となっていた中道保守勢力から構成される欧州人民党(EPP)と中道左派の社会民主系政党からなる社会民主進歩同盟(S&D)が大きく議席を減らしたことだ。両者を合わせても過半数に届かない。多くのEU構成国で、戦後長く国政を担ってきた政党が近年衰退し、EU懐疑主義やポピュリズム政党が勢力を拡大させ、政党システムは複雑化してきた。欧州議会でもこの傾向がはっきりと見られるようになったのである。
もう一つの特徴は、1979年の第1回直接選挙以来、低下し続けてきた投票率が初めて上昇したことだ。背景としては移民・難民問題や地球温暖化対策など、EUレベルでの対処が必要な課題が強く認識されたことがあろう。その結果、積極的な温暖化対策・環境政策を求める緑の党が議席を増加させた。反EUや懐疑派勢力も議席を増やしたが、予想の範囲内といえる。EU懐疑派の増加が欧州議会の運営に与える影響は限定的となろう。…
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週刊エコノミスト
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