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国際・政治 東奔政走

米イランの「仲介役」演じた賭け 四つの利点と引き換えのリスクも=及川正也

イランのザリフ外相(左)と各種する安倍首相。米イランの「仲介役」の成果は……(首相官邸で5月16日)
イランのザリフ外相(左)と各種する安倍首相。米イランの「仲介役」の成果は……(首相官邸で5月16日)

 安倍晋三首相のイラン訪問は、現職首相では1978年の福田赳夫首相以来、41年ぶりだ。米国とイランの緊張が高まり、世界に不安が広がる中、両方に深い外交関係を持つ日本が「仲介役」を買って出たが、「宿年の敵同士」である米イラン関係を取り持つのは容易ではない。大きな賭けに出た安倍外交の成否は──。

 イラン訪問は、あえて火中の栗を拾う、といった類の話ではない。猿におだてられた猫が悲惨なやけどを負うラ・フォンテーヌの寓話(ぐうわ)が示すのは、他人の利益のために非常な危険をおかすことのたとえだ。だが、中東の緊張は人ごとではない。日本は石油輸入の8割以上を大産油地帯の中東に頼っているのである。

 米国とイランが武力衝突に発展し、ペルシャ湾やアラビア海が戦域となれば、世界への原油供給は大混乱に陥り、原油価格は高騰する。日本はもちろん世界経済に深刻な影響を与える。70年代に2度の石油ショックに見舞われた日本では物価が上昇し、経済成長率が減速した。福田首相のイラン訪問は第2次石油ショック前夜だった。反米に急旋回する翌79年のイスラム革命後もイランと緊密な関係を維持してきたのは、日本の命脈を保つ…

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