金利のさらなる自由化 現行基準廃止も視野に=神宮健
中国で、市場メカニズムによる金利形成を進める動きが加速している。
中国の金利自由化は、1990年代後半の短期金融市場金利の自由化に始まり、貸出金利の下限撤廃(2013年)、預金金利の上限撤廃(15年)で形式上は完了した。そのため、この上下限の算出に使われていた預金・貸出基準金利は不要になっているが、中国人民銀行(中央銀行)は銀行の金利決定の参考として依然として公布しており、実際、銀行も融資金利の決定に利用している。
このため、金利動向を考える指標として、市場で決定される国債などの金利と貸出基準金利が並存。これが人民銀行による金融政策の有効な波及を妨げていると言われてきた。つまり、人民銀行が公開市場操作を通して市中金利に影響を与え、それが企業などの資金調達金利に波及し、経済全体に影響を及ぼすという、市場メカニズムを通した政策波及が実現できていない。
残り924文字(全文1303文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める