上場の意義問われる地銀 地元財界の時代錯誤も=浪川攻/20
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6月13日に開かれた全国銀行協会長の定例記者会見で、記者の一人が次のような質問を放った。
「厳しい環境が続くなかで、地域銀行が上場コストを負担してまで上場する意味があるのかどうか、メリットがあるのかどうか」
やや場違いの質問だったが、高島誠全銀協会長(三井住友銀行頭取)はこう答えた。
「一般論としては、中長期的に見て上場維持コストに見合うメリットが期待できないのであれば、非上場化も選択肢になりうると思う。株主還元と自己資本の充実のバランスをいかに取っていくかは、株式を上場する銀行特有の難しさがある」
このやり取りは、金融庁、日銀が上場地銀による株主還元の動向を注目していることを反映したものと言える。近年、株主還元の重要性が高まっているが、その一方で配当などは利益の外部流出でもある。その負担とメリットがバランスしているかどうか。この判断は容易ではない。
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週刊エコノミスト
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