巫女を通じて全貌に迫る伊勢神宮理解の入門書=今谷明
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伊勢神宮は、皇室の先祖神である天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀(まつ)った大社で、明治以前では「神宮」といえば伊勢神宮のみを指していた。言うまでもなく諸社中、最高の社格を誇った。評者は京都で幼時を送ったが、小学校の修学旅行先といえば伊勢神宮であった。
しかし、学校では神宮の由緒を習うことも少なく、皇祖神の位置が都の近辺や畿内ではなく、なぜ遠い伊勢にあるのか、いつごろから伊勢に祀られているのかなどの疑問は、長らく未知のままであったように思う。
西宮秀紀『伊勢神宮と斎宮』(岩波新書、840円)は、右のように神話と伝説のかなたに敬遠されている諸問題に、古代史と神話学の専門家としての立場から回答したもので、まことに格好の入門書であり啓蒙(けいもう)書であるといえよう。
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