美術 国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展=石川健次
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一代で収集した西洋美術の名品 数奇な運命、流転の全貌に迫る
明治時代に首相を務めた松方正義の三男に生まれ、川崎造船所(現川崎重工業)を明治、大正、昭和と約30年にわたって率いた松方幸次郎(1866~1950)は、第一次大戦勃発にあたって船舶需要の拡大をにらみ、従来の受注生産ではなく、あらかじめ作っておく「ストックボート(既製貨物船)」の販売で巨万の利益を上げた。
一方で西洋の美術品を精力的に買い求め、膨大なコレクションを築いた。パリやロンドンのギャラリーを、また芸術家を直接訪ねて作品を購入する姿は、当時の西洋の人々には例えば「芸術家たちのアトリエを泳ぎ回る大魚」(本展図録から引用)に映った。本展は、フランスから買い戻した浮世絵を含めれば1万点を超える松方コレクションがたどった数奇な運命に、流転の全貌に迫る。
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週刊エコノミスト
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