合意内容に目新しさなく 揺らぐG20の多国間主義=熊谷徹
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6月に大阪で行われたG20首脳会議に対する欧州メディアの評価は、その直後にトランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と電撃的に会談したニュースの陰に隠れ、地味なものとなった。
ドイツのニュース週刊誌『シュピーゲル』は6月29日付電子版で「大阪サミットでは、当初トランプ大統領の反対のために、各国首脳は共同宣言について合意できないのではないかという懸念もあった。決裂は避けられたが、地球温暖化や貿易などに関する合意内容に目新しさはなかった」と論評。
各紙は共同宣言よりも、個別の会談や交渉に大きな比重を置いた。例えばドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は、7月1日付の紙面で、「EUはサミット期間中にブラジルなどが構成する南米南部共同市場(メルコスル)と自由貿易協定について合意し、多国間主義を重視する姿勢を強調した。ドイツ世界経済研究所のG・フェルバーマイヤー所長は、『この合意はEUの力を世界に示した。同協定は、ドイ…
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週刊エコノミスト
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