小説 高橋是清 第53話 シベリア鉄道と条約改正=板谷敏彦
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山師の悪評を立てられながらも日本銀行に入り本店工事に関わった是清は、工期の遅れや高騰する建築費用の問題を解決し、九州地区と山口県をカバーする西部支店支店長に昇進した。
少し時間をさかのぼる。明治24(1891)年5月11日、ペルーの銀山開発に失敗した失意の是清が、川田小一郎日銀総裁から「日銀で働かぬか」と声をかけられた1年前の頃である。
ロシア帝国皇太子ニコライが訪問先の大津で、警備の警察官津田三蔵からサーベルで突然切りつけられ負傷する事件が起きた。大津事件である。
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