小説 高橋是清 第54話 日清戦争=板谷敏彦
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ペルー鉱山開発の失敗で悪評まみれの是清は、日本銀行に入り本店工事に関わり、工期の遅れや高騰する費用の問題を解決、九州地区と山口県をカバーする西部支店支店長に昇進した。
明治27(1894)年3月28日、是清が日銀西部(さいぶ)支店長に就任して約半年、ようやく職務にも、馬関(下関)の土地にも慣れ始めた頃である。
日本に亡命していた朝鮮の元官僚で活動家の金玉均が、朝鮮国王が放った刺客に上海で暗殺された。金は李鴻章に会うために上海に出向いたところだった。
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