教養・歴史コレキヨ

小説 高橋是清 第55話=板谷敏彦

    徳富蘇峰
    徳富蘇峰

     是清の日銀西部支店長就任から約5カ月、朝鮮の親日活動家金玉均の暗殺事件をきっかけに日清関係が緊迫する。日本軍は朝鮮王宮を攻撃し清国派を追放、日清戦争が始まった。

     日清戦争開戦当時の大蔵大臣は諏訪高島藩出身の渡辺国武、次官には田尻稲次郎、主計局長が松尾臣善、主計官が阪谷芳郎であった。

     開戦にあたって大蔵省は日清戦争の軍事費を期間別に3案想定した。(甲)戦争期間半年、5000万円、(乙)1年、1億円、(丙)1年半、1億5000万円の三つである。

    (甲)ならば剰余金・公債を中心にやりくりする、(乙)であれば、それに加えて酒・タバコ・所得税増税も視野に入れねばなるまい。さらに長引いた場合の(丙)では民党反対の中心課題である地租の増税までが想定されていた。この時は日露戦争のように外債を発行して外国から資金を調達する計画はなかった。基本的な資金の流れとしては、まず日銀が政府に金を貸し、政府支出によって民間に資金が移動したところで国債を発行して日銀…

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